理事長挨拶

安岡冨士子理事長写真

一般社団法人日本綜合医学会
理事長 安岡冨士子

【西洋、東洋を併せ持つ医学体制の確立を!】

一般社団法人日本綜合医学会
理事長 安岡 冨士子

 遺伝子医学や再生医療など現代医学が目ざましい進歩を遂げる一方西洋医学だけに頼らない代替医療への関心が高まっています。人間の体は極めて精巧、複雑で、一人ひとりの体質はそれぞれ異なっており、最新の医学をもってしても治せない病気があるためです。
 西洋医学一辺倒から個人の体質を重んじた医療へ、人類4000年を超える歴史と経験に基づく伝統医学への回帰は、今や世界の潮流といっても過言ではありません。そうした中で日本は古来よりの東洋医学を認識しなおすとともに、西洋、東洋を併せ持つ医学体制の確立を求め、本来持っている日本人の気質体質が損なわれない日本社会をつくりあげることを大きい目的として2021年5月に日本綜合医学会は一般社団法人として新たに設立いたしました。
 その季刊誌第1号が、大好評の中で多くの方々に配布され、非常に大切な目的を持った会だということを把握して頂き、認識して頂くことが出来ました。今、日本民族としての形成が大きく失われてきていると感じる人々も増えてきました。反面、時流に乗って、目の前だけの健康や幸せを求める人も増えています。
 そんな中にあって、平成25年には「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づいた「食」に関する「習わし」が「和食、日本人の伝統的な食文化」と題して、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。日本人の生き方は、人類として歴史上からも世界的にも、世界一であると認められ始めております。南北に長く四季が明確な日本には、多様で豊かな自然があり、そこで生まれた食文化もまた、これに寄り添うように育まれてきました。世界のグローバル化の中、日本は「生きる生かされる」ことに焦点を当て、先ず国民の食糧を未来永劫安定した供給が求められます。
 生命が生かされるためには農業と自国の農産物の貴重さを改めて認識し安定した食供給の必要性が急がれる時代でもあります。屋根を持たない農業は非常に難解な職域です。全て自然環境に支配されています。
 しかし、秋を迎えると一面に黄色く色づく「黄金の国」とも例えられている水田と言う「稲田」を大切に守ってきた私たち日本民族。しかし、高齢化率世界一の波で休耕田や耕作放棄も急速に進みつあります。今こそ大切な農業を命の継承として大切に育み、守り継いでいかなければなりません。
 そういった多様な価値観、高齢化の中で、ともすれば生命の起源を忘れたかのような現代、胸に手を当ててゆっくり考える時、休息という時間をコロナは与えてくれたのではないでしょうか。
 現代人は、1日24時間の使い方を、身を削るかのように計画し、頑張って生きています。病魔に見舞われた方々の問題は様々ありますが、最近はストレス過多が指摘され、精神バランスも大事であると紹介されています。私たちもこれらを冷静に受け止め、生きることは生かされることと最近は認識を新たにしています。病気大国とまで称されるようになってきた日本。薬による「対処療法」にだけ頼るのではなく、医食同源、食の在り方を中心とする「予防医学」に目を向け、食事の形を後世に引き継いでいくことが今の時代を生きる私たちの大きな役割ではないでしょうか。